月下のふたり〜もういない君は、この恋を許さないだろう〜【単行本版】

重なった臣の唇は震えていた。
令の顔が浮かぶ。
なんでキスなんかしちゃったんだろう。
他の誰でもない臣にだけは、あんな気持ちになっちゃいけなかったのに…。
影からほんの少しのぞく月の輪郭。
もう確実にあの時のふたりではないのに、過去は影になって私たちは今でもその影に支配されようとしている。
その影を捨てることを選べないまま、前にも後ろにも進むことが出来ない。
私は自分の臣に対する気持ちが何なのか知りたい。
昔を懐かしんでいるのか、令と重ねているのか、それとも…。
「うちに、くる?」私は初めて、両親のいない家に、臣を招き入れた…。

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