天幕のジャードゥーガル 医療 2023.08.06 帝国の始祖チンギス・カンの死に揺れる帝国で、ファーティマは命じられ密偵として他の後宮へと足を踏み入れることに……。 歴史マンガの麒麟児・トマトスープが紡ぐ、大帝国を揺るがす女ふたりのモンゴル後宮譚! レビューを見る 購入・お申し込みはこちら
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス) 後に魔女と呼ばれる被征服民の女性が賢さを武器に立ち回るモンゴル拡大期の中央アジアを舞台にした歴史漫画の第2巻。 今巻ではチンギス・カンの崩御後、新しい皇帝が決まり、モンゴルの怨敵である金国への出征が決まるところまでが描かれる。その過程で、ファーティマが後に側近として仕える皇后ドレゲネとの邂逅を果たす。 今巻は今後の話の仕込みにあたる巻になり、1巻ほど話の展開はダイナミックではない。ただ、皇子の兄弟間の軍事的バランスの偏りによる政治的混乱が示唆されていたり、異民族出身でモンゴルの侵略により嫁いできた皇后ドレゲネの怒りの深さが開陳されたりと、今後に燃え上がるであろう不穏な火種が開陳されて読んでいて緊張感を覚えた。 モンゴルでの生活が長くなるにつれて故郷を滅ぼされた怒りがだんだん薄らいでいくファーティマが、自身よりもずっと長い間モンゴルに対して恨みを抱き続けて、しかし恨みを晴らすにはどうしたらいいかわからないでいるドレゲネとよしみを通じるようになったシーンはなかなか魅せてくれるなあと感じた。 傍からみれば有力者に奸臣が取り入る構図そのものだと思うのだが、「故国を奪われた」という共通点を下敷きにして両者の距離が近づくのがわかる演出が個人的に勉強になり、これが歴史モノの醍醐味なのかと知見を新たにした。 なお今巻は13世紀前半の遊牧民の地名が多数登場するので世界史資料集か地図帳が手元にあるとより深い理解が得られるだろう(作中で地図は示してくれるのでなくても問題はない)。 自分はアルタイ山脈の正確な位置をようやく覚えることができた。バイカル湖の南西あたりだったのね。
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス) 「地獄楽」もいい加減、異物の造形、中国風俗や江戸時代風俗の描き込み、バトルシーンの迫力等々、その筆力侮り難しとは思ったのだけど、トマトスープさんの選び抜かれた台詞、単純な線で中世の中東・モンゴルの緻密な風俗を描き切る筆力には感服した。流石、「このマンガがすごい!2023年オンナ編1位」である。 第二巻までは、基本的にはペルシャトゥース家の元奴隷・ファーティマの目線で話が進んでいる。驚くのはペルシャ幾何学の発達である。コペルニクスの地動説は16世紀ではあるが、ペルシャの13世紀初頭、彼らはすでに幾何学を使って地球の大きさを測っていた。世界は幾何学で測ることができる。ペルシャの幾何学模様がその世界観を表している。それなら幾何学で人の運命さえも測ることができるのか? と、やがてモンゴル帝国の「魔女」となる女が呟く(一巻2ページ目)。ここで、この作品世界を予言する。ドキドキ。 モンゴル初代皇帝チンギス・カンの死去の頃から始まり、その息子たちの時代の物語。圧倒的な軍事力を持つけど、ペルシャほどには科学は発達していない。しかしだからこそ帝国を広げることができたのかもしれない。 優しい家の奴隷だったファーティマは、モンゴル軍の侵略でご主人様を惨殺される。その復讐を胸に秘めてモンゴルの奴隷として中央アジアに連れて行かれる。そこで出逢ったのは、同じく主人を殺された恨みを持っている、次期大カアン・オゴタイの第6后のドレゲネだった。 まだ多くの人たちには未知の世界である13世紀のアジアの歴史絵巻がはじまる。モンゴル族の戦闘場面こそは出てこないけど、それを支える女たちの世界は十二分に描かれている。おそらくもう少しして北方謙三「チンギス紀」文庫本刊行が始まると思う。それへの事前学習としてもとっても楽しみなシリーズが増えた。2巻目まででは、ファーティマの魔女化は、かけらさえもない。
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス) ファーティマ(シタラ)もドレゲネも境遇を考えたらモンゴルを恨むのは当然なのに、そこに気付かず寛大な支配者のように振舞うモンゴルの人々の鈍感さが面白い。
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス) 読んだ。早くから、政治劇が始まって、読み応えありすぎ。しかし、この人は人の情念を描くのが好きなんだなだ。 大河ドラマの原作読んでるような感じだわ。
コメント
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス)
今巻ではチンギス・カンの崩御後、新しい皇帝が決まり、モンゴルの怨敵である金国への出征が決まるところまでが描かれる。
その過程で、ファーティマが後に側近として仕える皇后ドレゲネとの邂逅を果たす。
今巻は今後の話の仕込みにあたる巻になり、1巻ほど話の展開はダイナミックではない。
ただ、皇子の兄弟間の軍事的バランスの偏りによる政治的混乱が示唆されていたり、異民族出身でモンゴルの侵略により嫁いできた皇后ドレゲネの怒りの深さが開陳されたりと、今後に燃え上がるであろう不穏な火種が開陳されて読んでいて緊張感を覚えた。
モンゴルでの生活が長くなるにつれて故郷を滅ぼされた怒りがだんだん薄らいでいくファーティマが、自身よりもずっと長い間モンゴルに対して恨みを抱き続けて、しかし恨みを晴らすにはどうしたらいいかわからないでいるドレゲネとよしみを通じるようになったシーンはなかなか魅せてくれるなあと感じた。
傍からみれば有力者に奸臣が取り入る構図そのものだと思うのだが、「故国を奪われた」という共通点を下敷きにして両者の距離が近づくのがわかる演出が個人的に勉強になり、これが歴史モノの醍醐味なのかと知見を新たにした。
なお今巻は13世紀前半の遊牧民の地名が多数登場するので世界史資料集か地図帳が手元にあるとより深い理解が得られるだろう(作中で地図は示してくれるのでなくても問題はない)。
自分はアルタイ山脈の正確な位置をようやく覚えることができた。
バイカル湖の南西あたりだったのね。
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス)
流石、「このマンガがすごい!
2023年オンナ編1位」である。
第二巻までは、基本的にはペルシャトゥース家の元奴隷・ファーティマの目線で話が進んでいる。
驚くのはペルシャ幾何学の発達である。
コペルニクスの地動説は16世紀ではあるが、ペルシャの13世紀初頭、彼らはすでに幾何学を使って地球の大きさを測っていた。
世界は幾何学で測ることができる。
ペルシャの幾何学模様がその世界観を表している。
それなら幾何学で人の運命さえも測ることができるのか?
と、やがてモンゴル帝国の「魔女」となる女が呟く(一巻2ページ目)。
ここで、この作品世界を予言する。
ドキドキ。
モンゴル初代皇帝チンギス・カンの死去の頃から始まり、その息子たちの時代の物語。
圧倒的な軍事力を持つけど、ペルシャほどには科学は発達していない。
しかしだからこそ帝国を広げることができたのかもしれない。
優しい家の奴隷だったファーティマは、モンゴル軍の侵略でご主人様を惨殺される。
その復讐を胸に秘めてモンゴルの奴隷として中央アジアに連れて行かれる。
そこで出逢ったのは、同じく主人を殺された恨みを持っている、次期大カアン・オゴタイの第6后のドレゲネだった。
まだ多くの人たちには未知の世界である13世紀のアジアの歴史絵巻がはじまる。
モンゴル族の戦闘場面こそは出てこないけど、それを支える女たちの世界は十二分に描かれている。
おそらくもう少しして北方謙三「チンギス紀」文庫本刊行が始まると思う。
それへの事前学習としてもとっても楽しみなシリーズが増えた。
2巻目まででは、ファーティマの魔女化は、かけらさえもない。
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス)
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス)
今後の展開が楽しみ。
天幕のジャードゥーガル 2 (2) (ボニータ・コミックス)
早くから、政治劇が始まって、読み応えありすぎ。
しかし、この人は人の情念を描くのが好きなんだなだ。
大河ドラマの原作読んでるような感じだわ。